HEAVENな気分

昔のインタビュー記事貼り逃げ@温泉

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ロッキンf No.205 1992年11月号
「HEAVENな気分」

---なぜ、レコーディングの最終地点に、ここロスアンジェルスを選んだの?

TOSHI:
いや、これは、なるべくしてなったというか……(笑)。べつにボクの場合は日本でもどこでもよかったんだけど、いちおうエックスの活動拠点が今はこっち(=ロスアンジェルス)にあるでしょう?当然、エックスが第一だし、すべてエックスの活動に合わさないとね。

---ただ、シングル曲のタイトルでもあり、アルバムのタイトルにもなるという「made in Heaven」。この"ヘヴン"というイメージは、やっぱり東京よりロスアンジェルスのほうがあるような気がするね。空気の感じもそうだし…。

TOSHI:
空気や自然、そういう部分は東京よりはロスアンジェルスのほうが"ヘヴン"のイメージがあるね。今回、いろいろなスケジュールのつごうで、本当にたまたまなんだけど、プロモーション・ビデオやジャケット写真の撮影をロスアンジェルスで行なって。最初は日本で撮る予定だったんだけど、スケジュールのつごうで、たまたまロスでやったら、逆に、日本ではぜったい撮れないようなものが撮れてね。イメージどおりの、作り込みじゃない、すごくいいものが撮れたんだ。何か障害があっても、逆にそれがいい方向に転がっていくということが、今回、ジャケット撮影だけじゃなく、いろいろなところにあった。だから状況がどうであれ、結果的にはいいという。結果オーライじゃないけれどね(笑)、でも、何があってもいい方向にしか転がらなかったという。これからもそうだろうし。そういうところがあったんで、すごくよかった。

---今、話に出たビデオだけど、すごい場所で撮影したらしいね?

TOSHI:
ロスアンジェルスからクルマで4~5時間北上したところで、いわゆる砂漠というか、まわりを山に囲まれていて、家も何もない所。デス・ヴァレーの少し先だけど、イメージ的にはデス・ヴァレーという感じ。岩がゴロゴロしていて雑草が少し生えていて、気温はもちろん40度以上という場所。でも、すごくよかった。こんどの作品は画といっしょに聴いてほしい音楽なんだなと思った。
「made in Heaven」は、"ヘヴン"ということばをとっても抽象的だと思う。その中でみんなにいろいろイメージしてもらいたいというんで、そういう曲にしたんだけど、みんなの気を逸らさない程度のイメージングを画像でできるというかな?あまり感情的に入り込まない程度の、その人のイメージにそれほど影響を与えない程度の、イメージとしてちょうどいい画が撮れたんで、曲といっしょに見てもらうと、さらに歌が心に届くんじゃないかな?イメージがさらに広がると思うね。

---でも、最初にそこに行ったときは驚いたんじゃない?

TOSHI:
それは驚いたよ。ホントに何もないし、とにかく暑いしね。でも、すごく気持ちよかった。何というか……初めてだったね、あの感覚は。ジャケット写真を撮ろうとするその場所、場所に力を感じるんだ。ホント、こちらにメラメラと迫ってくるような、そういう力を感じてね。じっさいにその場所に行って自分がその中に溶け込んじゃうと、現実感がないというか、まさに"ヘヴン"じゃないかな?と思うくらい。だって、今までそんな場所って写真でしか見たことがない情景でしょ?それが目の前にあるんだから、気分は高揚するよね。撮影の雰囲気自体もすごく熱かった。気温も暑かったけど、人間も熱くなって盛り上がって作業したというのが伝わるんじゃないかな?そこで3日間。すごく短かったけど……、いや、あの炎天下だから長かったかな(笑)。ただ、撮影しているときは、そういう暑さを、あまり感じなかった。ホント、集中していたし。もう、暑いなんて言ってられない。オレは途中で休めるけど、回りのスタッフは休めないからね。自然の中で、すごい緊張感が流れてたよ。
 でも、そういう、すごくいい撮影が集中してできたんで、予想以上のものが撮れたと思う。だから、ジャケット写真プロモーション・ビデオにしても、早くボクも完成形を見たいし、みんなにも届けたいと思う。

---ところで、アルバムは形として完全に見えてきた?

TOSHI:
それは、もう。ほぼ完全に。

---たとえばシングルの曲だけど、10月号の取材の前に聴かせてもらったのは、まだラフの状態でギター・ソロも何も入ってなかったんだけど、完パケ(最終的な完成品)にはHIDEの強力なソロが入ったりして、最初のイメージとはずいぶん感じが変わったでしょ?

TOSHI:
それは、作業中に「こういうギターがほしい」とか言って、どんどん変えていったから。最初はアコースティック・ギターとヴォーカルだけ、ピアノとヴォーカルだけという、そういうアルバムもいいなと思っていたんだけど、やっぱりいろいろ詰め込みたくなってきてね。そういう変化はあったけど。

---シングルの「made in HEAVEN」は、どんな感じの曲?

TOSHI:
ホントに自然に生まれてきたムリのない歌(笑)。"ヘヴン"という言葉には人それぞれイメージがあって、その自分の中にある"ヘヴン"を探しにいくような……。それが真実であったり、天国であったり、心地がよいところであったり、気持ちがいい感覚であったり、幸せであったり……、それは人それぞれだけど、だれにでも"ヘヴン"はある。自分の中に、気持ちの持ちようで感じ方が変えられる"ヘヴン"があるんだということを表現したかった。

---"なくした昨日、見つからない明日"って、すごくいいな思った。

TOSHI:
いろいろあるけど、「オレたち、あるいはキミらの心の中にそういう場所があるんだよ、きっと」みたいな感じかな。それほどイメージ付けしたくなかったし、あえて具体的な歌詞じゃなくて、広がりのある歌にしたかった。感じたままに感じてもらえればいいし、そこまで感じてもらわなくてもいいしね。なぜ"We are the HEAVEN"なのかを感じてくれるんだったら感じてほしいし、ただいい曲だって思ってくれてもいいし、聴き流してもいいし、みんなが聴いたときに何かしら感じてくれればいい。ボクの歌によって心地よい時間が過ごせたら……。

---フワッとした表現の中にも、重い部分があるし。

TOSHI:
そうだね。そのへんは感じたまま受け取ってもらえれば。ただ、1回聴いてくれるんだったら5回ぐらい聴いてほしいという気持ちはあるけどね。

---何回も聴くと伝わり方が違ってくるしね。

TOSHI:
1回1回聴くごとに、いろいろなイメージや、絵が浮かんでくるし、感じ方があると思うから。エックスとは違う表現の仕方だけど、エックスが好きなら、きっといろいろ感じられると思うから、もしよかったらそれを感じてほしいね。

---もう1曲の「Welcome to my destiny」のほうは?

TOSHI:
これは大きなバラードというか、広がりのあるバラード。詞も大きな愛がテーマだし。

---初めて聴いたとき曲にストーリーが感じられて、ミュージカルの中に出てきそうな曲だと思ったんだけど。

TOSHI:
ファンタジックな感じでね。広がりのあるダイナミックさとでも言ったらいいのか、ちょっと異質な感じがある。ミュージカル的なイメージが、この短い曲の中で感じてもらえたらうれしいね。ギターもクラシカルで、ちょっとクイーンを意識しつつ、フレディ・マーキュリーの追悼の意味も込めて広がりのあるように。

---初めてアメリカに行ったときに、ミュージカルを観て感動したと言ってたから、それが反映されたのかなと思った。

TOSHI:
初めからそういうイメージがあったわけじゃないんだけど、作られていくうちにイメージがわいてきて。本当に広がりのある、突き抜けた曲になったらいいなと思ってたけど、なかなかおもしろく仕上がった。
 でも、シングルのカップリング曲としては意外でしょ?アルバムには入っていそうな曲だけどね。「Welcome to my destiny」という言葉の響きが大好きで、「よくぞ、こういうタイトルを付けてくれた!」と思った。これは作詞家の人がクジラを見に行ったときに思いついた言葉でね。曲のイメージを話していたとき、「あしたクジラを見に行くんだけど、きっとそこで何かを感じてくるよ」って言ってたんだ。そうしたら「Welcome to my destiny」って(笑)。クジラから生まれたというすばらしさ。ボクのイメージや、やりたいことにぴったり。サビだけでもOKというくらい、広がりがあって。

---いかにも劇的に盛り上げるというんじゃなくてね。

TOSHI:
そう、そう(笑)。おおげさに"ドーン"というんじゃなくて、"スコーン"と突き抜けるような感じ。まあ、その人なりにいろいろな感じ方してくれたらいいし……、心地よくなってくれたら、うれしいな。

---で、エックスのメンバーの協力もあって。

TOSHI:
そう。今回、シングル「made in HEAVEN」に関してはHIDEのギター・ソロが入っていて、アルバムに収録される「Somebody loves you」にはPATAのギター・ソロが入ってる。みんな、快くやってくれてね。聴けばわかると思うけど、HIDEは、かなり作り込んだんじゃないかな?と思うくらい、ちゃんとしてる。PATAはあい変わらずPATAらしく、その場のノリでガッと弾いてるし。

---ふたりともエックスのときとは違う感じのプレイをしてるでしょ?それはTOSHIから「こう弾いてほしい」というリクエストを出したの?

TOSHI:
いや、ボクはぜんぜん注文しなかった。曲を渡して「好き勝手にやって」って。だから、ソロに関しては、ディレクションもその人に任せたし。まぁ、PATAはボクのアルバムに参加してくれるという気持ちと同じくらいに、ジェフ・ベックのリズム・セクションと、アルバムの上でだけど、セッションしたいというのがあったんじゃないかな(笑)。
※アルバムのリズム・セクションを担当しているサイモン・フィリップス(ds)とモー・フォスター(b)は超一流のイギリスのミュージシャンで、PATAの敬愛するギタリスト=ジェフ・ベックのアルバム『ゼア・アンド・バック』のリズム・セクションを担当していた。

---曲調にもよるんだろうけど、HIDEやPATAがTOSHIのことを、どういうふうに見ているのか、なんとなくわかるようなソロだね。

TOSHI:
そういうのは、あるかもしれない。でも、ホント、パッとやってくれて、うれしかったね。しかもいいものができたし。
 でも、しばらく自分ちのバンドをやってないと、さびしくなるもんだね(笑)。久びさに彼らのプレイを聴けて、よかったよ。やっぱりバンドはいいなって。

---そうやって、だんだんアルバムの音も固まってきて……。

TOSHI:
そうだね、ホントにいろいろなミュージシャンといっしょにできて、よかった。いろいろな経験ができたし、すごく興味深かったし。

---シングルの曲はアルバムに収録されるの?

TOSHI:
リメイク&リミックスのテイクで入る。「made in HEAVEN」のほうは、ギター・ソロがHIDEじゃなくて今剛(こん・つよし)さんの演奏が入ってるし、全体のアレンジも少し違う。「Welcome to my destiny」のほうはリミックス。完全にアルバム用にしてある。歌は同じテイク……、厳密に言うと少し違うんだけど、同じ(笑)。うんとよく聴き込めば違いがわかるかもしれない。

---違いがわかるくらい、聴き込みなさいということかな?

TOSHI:
(笑)。


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整理番号2175
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